ロレンツォ・ロット〜カッソッティ家の婚姻〜
2010.03.09 Tuesday 21:55
今回、久しぶりの『絵画の中のジュエリー』は、ロレンツォ・ロットのユニークな作品から。ロットの作品は、一見古典的なようでよく観るとなかなかモダン。ティツィアーノやヴェロネーゼ等、ヴェネツィア派の華やかな巨匠と比べるとやや地味な感がありますが、なんとも意味深長な描写、そしてユニークな表現は飽きることがなく、彼の絵の意味を読み取るのはとても楽しいです。今回ご紹介するのは彼の指輪にまつわる作品です。
まだ若く初々しい、最新ファッションに身を包んだお洒落なカップルの肖像画。

【I coniugi Cassotti 〜 カッソッティ家の婚姻】
プラド美術館(マドリッド・スペイン 1523年)
この男性はマルシリォ・カッソッティというベルガモの裕福な布商人の息子で、妻となるファウスティーナに今まさに指輪をはめようとする場面。この時代、指輪の交換は結婚の儀式の一つではなく、婚約を表す行為でした。
当時の肖像画は描かれた人物が不明なことが多いのですが、彼女がファウスティーナであると明らかにするのが、一つのジュエリーの存在です。

彼女の首にかけられカメオのペンダントトップ、これは古代ローマ皇帝アントニウスの奥方ファウスティーナのプロフィール(横顔の肖像)。ここに画家は、彼女の名がファウスティーナであると暗に示しているのです。そして、真珠のネックレスは花嫁の純潔を意味します。そしてさすが布商人の御曹司だけあって、二人の衣装は大変ゴージャス。たっぷりと取った生地は光沢も美しく、襟や袖口に施されたレースはとても品良く繊細。帽子も洒落ていますね。

花婿が指輪をはめようとしているのは、花嫁の薬指。これは現代にも受け継がれていますが、左手の薬指は古代エジプトより愛の血管が心臓まで繋がっているということで、男女の絆の証の指として結婚指輪はこの指にはめるのが伝統的。
それにしても、ふっくらとした頬とくりっと丸い目が印象的な二人の背後で、意味深長な笑みを浮かべるクピドの存在が奇妙でなりません。幸せな二人の肩に、まるでくびきをかけるように木を背負わせています。これはこの絵をロットに依頼した商人である父親が、息子のことをとても誇りに思う、けれどあえて彼にその責任の重さを感じさせたい、という意図のようです。美しいカラーの羽根を持つクピドのちょっと意地の悪い笑みは、二人の前途を祝福するというよりも、まだ暢気さが抜けぬお坊ちゃま風の彼を試すような、あるいは皮肉るような表情。こういう表現はいかにもロットならでは、類い稀な婚姻の肖像画です。
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【I coniugi Cassotti 〜 カッソッティ家の婚姻】
プラド美術館(マドリッド・スペイン 1523年)
この男性はマルシリォ・カッソッティというベルガモの裕福な布商人の息子で、妻となるファウスティーナに今まさに指輪をはめようとする場面。この時代、指輪の交換は結婚の儀式の一つではなく、婚約を表す行為でした。
当時の肖像画は描かれた人物が不明なことが多いのですが、彼女がファウスティーナであると明らかにするのが、一つのジュエリーの存在です。
彼女の首にかけられカメオのペンダントトップ、これは古代ローマ皇帝アントニウスの奥方ファウスティーナのプロフィール(横顔の肖像)。ここに画家は、彼女の名がファウスティーナであると暗に示しているのです。そして、真珠のネックレスは花嫁の純潔を意味します。そしてさすが布商人の御曹司だけあって、二人の衣装は大変ゴージャス。たっぷりと取った生地は光沢も美しく、襟や袖口に施されたレースはとても品良く繊細。帽子も洒落ていますね。
花婿が指輪をはめようとしているのは、花嫁の薬指。これは現代にも受け継がれていますが、左手の薬指は古代エジプトより愛の血管が心臓まで繋がっているということで、男女の絆の証の指として結婚指輪はこの指にはめるのが伝統的。
それにしても、ふっくらとした頬とくりっと丸い目が印象的な二人の背後で、意味深長な笑みを浮かべるクピドの存在が奇妙でなりません。幸せな二人の肩に、まるでくびきをかけるように木を背負わせています。これはこの絵をロットに依頼した商人である父親が、息子のことをとても誇りに思う、けれどあえて彼にその責任の重さを感じさせたい、という意図のようです。美しいカラーの羽根を持つクピドのちょっと意地の悪い笑みは、二人の前途を祝福するというよりも、まだ暢気さが抜けぬお坊ちゃま風の彼を試すような、あるいは皮肉るような表情。こういう表現はいかにもロットならでは、類い稀な婚姻の肖像画です。
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