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『THE ハプスブルク』スペイン・北方絵画編
引き続き、『THE ハプスブルク展』について。今回が最後ですので、どうぞお付合い下さいませ。(京都国立博物館  会期 2010年1月6日〜3月14日)
イタリア絵画から始まり、そのあとスペイン絵画、北方ルネッサンスへと続きます。各セクションから、私の好きな絵画を数点ご紹介を。

スペイン絵画からは、ジュゼッペ・デ・リベラをアップしたいところですが、私の好きな庶民を描いた、徹底したリアリズムが発揮された時代の絵ではなかったので、ここはやはりベラスケスで。とはいえ、リベラの『聖痕を受けるアッシジの聖フランチェスコ』が見事な絵には違いないのですが。


ディエゴ・ベラスケス【食卓につく貧しい貴族】

ディエゴ・ベラスケス【食卓につく貧しい貴族】

私はどちらかというと、王家の肖像画よりもボデゴンが好きなので、この作品は大変興味深いものでした。特にテーブルの上に何が載っているのか、彼らが食しているのはどんなものなのかと、とくと観賞。中央のお皿には干し魚とオレンジ?静物画としても見事です。
今タイトル書いて知ったのですが、この3人は貴族なのですね。食堂で話し込む3人の男性、いかにもスペイン人といったくっきりとした容貌が、極めてリアルに描かれています。


バルトロメ・エステバン・ムリーリョ【幼い洗礼者聖ヨハネ】
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ【幼い洗礼者聖ヨハネ】

ムリーリョというと、どうしても【無原罪のお宿り】のイメージで、乙女チックな作品を思い浮かべます。今回出展の3作品も独特の甘い雰囲気はありますが、力強さや落ち着きがあり、『聖家族』には穏やかな精神性が観られ、少しイメージが変わりました。この洗礼者ヨハネもなんとも愛らしいのですが、表情は既に大人のそれですね。眼力がすごいです。彼のアトリビュートの子羊がまたかわいいのです。

他にも、こちらはやはり別格?エル・グレコ『受胎告知』や、妙に美男子の描かれたヨセフが印象的なスルバラン『聖家族』など、個性派揃いのスペイン絵画。見所いっぱいです。


ドイツ絵画のセクションでは、やはり巨匠アルブレヒト・デューラーが見事。以前にも日本にやってきていた【若いヴェネツィア女性の肖像】が魅力的です。髪型、衣装、ジュエリーも当時の流行を表しているのでしょうか、とても興味深いです。

ルーカス・クラナッハ【洗礼者ヨハネの首を持つサロメ】
ルーカス・クラナッハ【洗礼者ヨハネの首を持つサロメ】

でも、私の好みはこちら、クラナッハ。彼の描く女性はいつも、幼い少女のようにも、妖艶な悪女のようにも見えます。そのアンバランスさが魅力なのでしょうね。そしてこの精緻な線描写は圧巻。こちらの衣装、ジュエリーにもくぎづけです。


やや線の硬いドイツ絵画から、洗練されたフランドル・オランダ絵画へ。

バルトロメウス・スプランゲル【ケレスとバッコスがいないとヴィーナスは凍える】
バルトロメウス・スプランゲル【ケレスとバッコスがいないとヴィーナスは凍える】

このタイトルは???無性に気になって、帰りに図録を購入しました。
手前の二人は、葡萄酒の神バッカスと農耕の女神ケレス。後ろにはキューピッドと一緒に焚き火にあたる凍えそうなヴィーナス。つまりワイン(バッカス)とパン(ケレス)がないと、愛も冷めるということだそうです。面白い!それにしもこの長〜い肢体、究極のマニエリスムの美ですね。


ペーテル・パウル・ルーベンス【悔悛のマグダラのマリアと姉マルタ】
ペーテル・パウル・ルーベンス【悔悛のマグダラのマリアと姉マルタ】

巨匠ルーベンスとその工房作から3点。
ここに登場するマグダラのマリアは他のマリアとあえて混同されているようですが、なんといっても見所はその大胆な構図と、鮮やかなまでの衣装の描写。この辺りはやはりヴェネツィア派の影響を感じるのですが。他の2作品がそれぞれまた違った雰囲気の作品で、ルーベンスの才能の広がりを感じることができます。


アンソニー・ヴァン・ダイク【神父カロルス・スクリバーニの肖像】
そしてこのセクション一押し。
アンソニー・ヴァン・ダイク【神父カロルス・スクリバーニの肖像】

ルーベンスの弟子であるヴァン・ダイク。彼も独自の路線を見出し、それを最高のものにしています。やはりなんといっても肖像画。今回は4作品出展されていますが、この【神父カロルス・スクリバーニの肖像】は絶品です。とても知的で、そして厳格で、でも心優しい信仰心厚い神父...なんて想像力が膨らむ美しい肖像画。私の好きなショーン・コネリーに似てるわぁ、なんて。やはり、ヴァン・ダイクは素晴らしい。


さて、長々と描きましたが、このところ美術館へ行く時間がとれないので、こうして一つの美術展を噛みしめながら楽しんでおります。また、お近くの方は是非足をお運び頂いて、本物の持つエネルギーを感じていただきたいものです。


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| Ayumi | イタリア美術 | comments(4) | - |
Comment
2010/02/17 8:33 PM posted by: りゅうBB
ベラスケスの「食卓につく貧しい貴族」は見ました。テーブルの上の食事を見て,本当に貧しいな!と思いました。貴族とは,私も知りませんでしたワン。

ムリーリョは、最初画家の名前を知らなくて、娘が止まったホテルが「ムリーリョ」で初めて知りまして、それから,色々な美術館で名前を知る様になりました。

クラナッハのこの絵は ちょっとフランドルの画家の絵に見えます。
これが血だらけのネグリジェでも着ていたら,それはそれで納得ですが、首を持っているのに、この怪しげなお顔。しかも、その衣装の素敵な事。かえって怖いですね。

『ケレスとバッコスがいないとヴィーナスは凍える』
このタイトルは図録を買いたくなりますよね〜。

ヴァン・ダイクはルーベンスのお弟子さんだったのですね。

ふぅ〜〜。
私も、一緒に美術館を一周して来た様な、充実した記事でした。ありあとさんどした。楽しかったです。


2010/02/19 11:16 AM posted by: Ayumi
BB様、こんにちは!

私もBB様とご一緒に観賞した気分です。
長々とした記事にお付合い下さり、ありがとうございました!

クラナッハの絵は冷ややかで美しい笑みがなんともいえませんね。血だらけのネグリジェ@@こわっっ!
『ケレスと...』、いつもは堂々たる美で描かれるヴィーナスが、こんなに弱々しく小さく描かれるなんて。面白い作品ですね。
ルーベンスの絵を観るたび、かの国の人々の立派な身体がうらやましくなります。それはもう太い腕のマリアでしたよ。
2010/02/21 12:22 AM posted by: akira
Ayumiさんのご感想で満足しそうですが、益々ハプスブルク展
が楽しみです。と思いながらまだ行ってませんが、そのうち
ぜひにと思っています。
ちょっと人物の目線が気になる絵がよくありますが、目線の
心理学?というのがあるそうで、これは人の目線(アイ・ディレクション)
を見れば、その人の心理が分かるという心理学の研究が基になって
いるそうです。絵をみる参考にはあまりならないと思いますが
ちょっぴり紹介してみます。
○右側への目線
今までに経験をしたことのない事柄を想像するときなど
○左側への目線
今までに経験をした事柄を反芻して想起するときなど
○左右に動く
なかなか、過去の記憶が戻ってこない場合や、これから経験
することで心理がゆれるときなど
○上目づかい
相手の立場のほうが上と認識したり敬うときなど
○見下す
相手を支配しようとする心理
男性などに多く見られ、強がってみたいときや虚栄心の表れ
○真正面
相手をじっと見るのは、自分に自信のある表れ
敵対心とも取られるので気をつける必要があるが
誠実さや心の余裕の表れととられることも多い

こんな目線で、人間関係を良くしたり、逆に悪くしたりとい
うこともありそうですが、目線の心理を応用して人間関係の改善に
役立たせてみようかなぁ・・・
でも、画家は目線をどこにするかきっと大きな意味を持たせることが
多いのは間違いなさそうですね。
ちなみにUnoちゃんの目線でも内面の心理が読めるのかニャ−??(@_@。
2010/02/22 10:59 PM posted by: Ayumi
akiraさん、こんばんは!

早いもので2月も後半ですね。そうこうしている間に展覧会も終ってしまいそうですが、こちらはakiraさんにもご覧頂きたいと思っておりますので、お時間がございましたらいらしてみて下さい。

人の目線、大変面白く拝見させて頂きました。
akiraさんも絵を描くとき、意識されているのでしょうか?
実際の人との対面はもとより、絵の中の人物も眼に力があると無性に惹きつけられます。また、私は人と接することが多いので、必ず相手の目を見て話します。そうするとより説得力も信頼度も上がると思うのですよ。
でも、あまりに見すぎて相手が蛇に見込まれた蛙状態にならないように気をつけねば。なんせ怒ると般若のわたくしですから〜@@
Unoのグリーンの眼、何か面白いものを見つけたときは不思議なほどキラキラ〜と輝きます。おねだりのときはウルウル〜と。とってもわかり易いですね(^-^)
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